俗なことは嫌いと俗っぽく言ってみる
思っていることを活字にすることでなにかが変わるんじゃないかと期待を込めて書いてみたり時にただの愚痴だったりするブログ。
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感想:ペストフさん講演@立教大学
久々に,研究会報告・・・まではきちんとしたのではないけど,つらっと感想を書いておこうと思いますー。


【感想:保育における親主体の協同とは―福祉国家研究の世界的リーダー スウェーデン:V.ペストフ氏を迎えて】(130510@立教大学)

行ってきましたよー。なかなかよかったです。
ペストフさんの講演内容自体は,昨年来日されてお話された内容とほぼ一緒だったかな。
(昨年の講演の様子は,生協総合研究所の『生協総研レポート 国際協同組合年における来日スピーカーの講演集:協同組合の可能性をどのように可視化するか』No.71, 2013年5月に掲載されています。)

その前に,解題の発言をなされた池本美香さん(日本総研)の話が衝撃的だった。

生協総合研究所は2013年4月から,「保育における親協同」研究会として,保育における親の参画に関する研究を進めているとのこと。具体的には,親が運営する保育施設の実態・その法制度はどうなっているのか,親がそういった動きに関わり続けられるコツのようなものは何か…といった点を明らかにすべく,10か国を対象に国際比較調査をしているそうです。池本さんは,その研究会座長として,日本の子育て環境からそもそもの働く環境が,国際的にみてどれだけ特異か,という点をお話されていました。



たとえば,母親就業率がOECD諸国の中でワースト3位とか(※スウェーデンは前から数えて3位),そもそも長時間労働(週50時間労働)の割合が,日本はトルコに続いてワースト2位(スウェーデンはトップ2位)とか・・・。
(※すべてOECDの統計データより)

週50時間労働については,ペストフさんも驚愕しておられました。「そんなに働いて,いつ子どもとの時間をつくり,高齢者を支えるのだ?!」と。
私も,改めてこの数字を見て驚愕・・・。同時にペストフ氏は,「今の日本の首相は,一週間でもいいから,週50時間働いて,子どもの世話もし,親の介護もする生活をしてみたらよいのだ!」とおっしゃっていました。超同感。

スウェーデンの状況を聞く前に,そもそもの社会環境・特に労働環境の差は,念頭に置かねばならないことも,改めて意識しました。


また,日本にも共同保育の実践はあったそうなのですが,それが継続するというより,自治体に対して「もっと行政主導でちゃんとした保育所つくって!」という異議申し立て運動につながり,ある程度保育所が整う中で共同保育の運動は薄れていったそうです。
これは興味深い。欧州では,行政主導の保育所の質の悪さから,親たちが立ち上がり,親による保育所運営の動きが広まったのに。逆に言えば日本の行政管理による保育所は,そこそこ(昨今の事情はまた別として)質が良かったということもあるのか・・・

保育をめぐる日本の動きでは,2000年から認可保育所に,自治体・社福法人だけでなく株式会社なども参入できるようになり(設置運営主体の制限撤廃),さらに2012年8月の子ども・子育て関連3法成立により,株式会社参入の際の規制がなくなったので,今後株式会社保育所が急増の可能性だそうです。

※保育所が株式会社だからといって,それ自体で「悪い」訳ではないし,日本の状況からみてやむをえない選択である点も,後の質疑で指摘ありました。
もちろん,日本全体の流れとして,「経済(=資本論理で動く大企業)が元気になればそのうち全体がよくなるだろう」路線の中での,株式会社参入規制撤廃は,本当の意味で子どもの成長をきちんと考え,親にも寄り添ってくれる保育所(←資本の論理では,負けがち)増加に,プラスかマイナスかといったら,危ない状況かもね,と危惧するようなコメントもありました。

数点,気になったことをメモ。

●私からの質問。「協同保育に参加する親は,高い教育を受けた人が多い」とちらりと講演の中でおっしゃっていたが,そうであるならば,高い教育を受けた人だけが協同保育という質の高い育児環境を維持できて,十分な教育を受けられなかった親は仕方なく質の悪い公的な保育施設に頼らざるを得ないという状況も,生み出しているのではないか」

※ある調査で,スウェーデンにおける保育所に対する親の満足度を高い順から挙げると,1)親協同保育所,2)労働者協同組合による保育所,3)自治体の保育所,4)小規模の営利企業の保育所,らしい。自治体による保育所の質の悪さを背景に親が立ち上がった経緯がある。でも,質の良いサービスを維持している親協同組合ばかりがフォーカスされるけど,一定の質のサービスをみんなに均等に分配する行政の役割という点では,どうなの?やばいんじゃないの?と思った。

 これに対する回答は,「その点に関する明確な調査結果はないから,ちゃんとはわからない・・・」的なもの。えー調査ないのかなぁ。ある気がするけど。通訳介しての質問だったから,ちゃんと伝わらなかったかしら。

(あと,私がここで,「高い教育を受けた人」と言ったのは,単に良い大学を出ているということでなくて,「市民としてのマインドがきちんとしてる,市民として自分で意見を言い,議論をして行くことができる人人」というイメージだったけど,言いそびれた。)


 ただ,基本的な前提として,スウェーデン社会では格差は許されるべきものではなくて,みんな平等に豊かであろうとする考え方は根付いているとは指摘なさってました。


●ある先生の質問。「スウェーデンでも新自由主義市場経済的な政策が進む中で,民間営利組織による保育所経営のシェアが拡大しているのは,表から読み取れた。しかし,シェアの増減が,直ちに非営利形体の保育所の数の減少を意味するわけではない。具体的な,今の非営利形体の保育所の状況は?何かダメージを受けたとしたのなら,どういった点か?」

…この点も,なんだかうまく伝わらず,びしっとした回答が得られていなかった気がする。いや,私がそろそろボーっとしていただけかもなんですけど。私はひとまず,この質問に,「あっ,そうですよねぇ」と気づかされた。どうも,営利組織の数・シェアが伸びると,それだけで過剰反応してしまいがちだから(笑)冷静にみてゆかないとね。


●はたまたある先生のコメント,というか情報提供。「日本で,マンションの中に保育所を作った例がある。はじめは,行政によって(??? 詳細理解できず。つまり行政ルールのより強い形態で)作った保育所だったから,行政の「平等分配」の仕組みで動いていて,市内の中で抽選に当たった人(?)が子供を預けられるのであって,必ずしもマンションの住民がその子供を預けられていなかったという状況が起きてしまったとのこと。
そこで二回目は,株式会社形態で保育所を作った。そうしたら行政論理ではなく独自に運営できたので,ちゃんと当初のねらい通りに,マンション住民が預けられるようになったとのこと。

行政ルールだと,ガチガチすぎて…という面が,悪く出てしまった例なのかな。でも日本の場合,公的な保育所がメインだったから,質を維持する為に規制が厳しくなっていったのはわかる。



●会の終了後,労協関係の方がペストフさんに言ってたこと。
(講演終わって,ぼけっと立ってたら,「来てきて!」と急にキラキラした目で呼ばれるから何かと思ったら,「ペストフさんに,労協の保育分野で頑張ってる方を紹介したいから,通訳して!」とのこと(笑) でもあんまりうまくなくて申し訳ない。しかしおかげで,私も話を聞けた。)

いわく,スウェーデンでは,親による共同保育と,労働者協同組合形式の保育所は,分けて考えられていて,前者の方が満足度が高いという結果だったが,この労協の方々が実践されている現場では,「親によって労協形式の保育所を運営」している点,またいわゆる健常児だけじゃなくて,障害をもった子どもを受け入れる取り組みをしている点,さらに親同士だけでなく,地域ともつながっている点(例えば,地域の農家さんとつながって,子どもが農業体験できたり・・・),といった事をおっしゃってました。

ペストフさんも,とっても興味津々でしたー!


ひとまずこんな感じかな。
ペストフさんには,去年来日された際もお会いしていろいろ質問させてもらってましたが,見事に覚えられてはおらず(笑),改めてご挨拶。こんどの7月のEMESの大会でまた会えそうです。




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